2017年10月6日金曜日

[TORCH Vol.100] 「私の読書遍歴?と最近読んだ本について」

                          現代武道学科 講師 田 中 政 孝

  私はこれまで、あまり本を読んでこなかった。強いて本を読むといえば、推理小説である。今回、書燈への投稿依頼があり、さて、何をどうしたらよいか考えたとき、まず、自分の読書遍歴?について考えてみることにした。小学校の頃によく読んだのは、アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』である。中学校以降は、朝から晩まで部活の連続で時間もなく、教科書や参考書のほかはあまり読まなかった。そして、社会人となった警察官時代は、仕事や昇任試験対策として法学関係の本や参考書等が大半であった。そんな中で、現在まで、息抜きとして時折読む本がある。それは、西村京太郎の『十津川警部シリーズ』である。テレビドラマでも放映されて、ご存じと思うが、警視庁捜査一課の十津川省三警部が主人公で全国各地を舞台としたトラベルミステリーである。 

これが学生諸君にお勧めかどうかはわからないが、私にとっては、一種のオアシスである。特に事件の謎解きと人間模様、土地柄の描写が好きで、十津川警部になりきっている自分がそこにいるのである。また、出張や旅行でその場所や列車に遭遇した時の何とも言えない懐かしさ、喜び(自己満足)は格別である。 

さて、私の読書遍歴は前置きとして、本題に入らなければならない。そこで、まず、これまで各先生方がどのような投稿をされているのかを確かめたくて、「書燈・平成29年4月1日発行版」を読んでみた。その中で、中井憲治先生が紹介している元警視庁警察官の大館和夫氏の語りを収録した『ゼロ戦特攻隊から刑事へ』という本に興味を持ったので、早速、読んでみることにした。本書の概要については省略するが、中井先生が文中で書かれておられるように「少年特攻隊員の貴重な歴史資料であるともに、刑事、そして民間人として生涯、剣道を見事に実践した記録として第一級のもの」と私も感じるとともに、大変感銘を受けた。すでに、学生諸君をはじめ、多くの皆さんが読まれていることと思うが、まだの学生諸君には、是非とも読んでほしい一冊である。 

次に、図書館の新刊コーナーで、ふと目に入ったのが『古代史が解き明かす日本人の正体』(関 裕二 著 ㈱実業之日本社)という本である。「古代史が解き明かす」というフレーズは何かロマンを感じずにはいられない。また、「日本人の正体」とくればますます興味がそそられ、読んでみることにした。本書では、日本人の正体について、世界に類を見ない「天皇」の存在。日本独自の信仰「神道」の秘密。日本人の本当の「戦争倫理」。日本人と日本がこれから「歩むべき道」。の順に歴史や日本書紀を引用しながら論じている。 

元来、日本人は、勤勉で実直であり、礼儀正しく、穏やかで、お人好しだったのではないか。太古の昔から日本人は、大自然を恐れ、崇め、祀ってきた。そして、「和をもって貴しとなす」、「大いなる和の国」として統一されたのが大和朝廷である。こうした考え方から日本人の資質や性格が形成され、美徳として伝承されてきた。16世紀において西欧人は、日本人の資質や性格を称賛している。しかし、そんな日本人が、なぜ、戦争に熱狂し、無謀な対米戦争に突入していったのか。

そして、なぜ、日本人は戦後、歴史を喪失し、日本的な信仰、考え方、立ち居振る舞いを忘れてしまったのか。何もかも欧米的なことが格好良く、正しいわけではない。「昔のままで良かったのかも?」、そして、日本人の正体とは?。これから日本人と日本が歩むべき道とは?。一読してみてはいかがだろうか。 

今、世界の人々が日本の良さに気付き、学ぼうとしている。学生諸君も「温故知新」、もっと日本の歴史、伝統文化と和の心を知り、日本の良さ、日本人の良さを知り、日本人としての誇りを持って世界に羽ばたいてほしいものである。